あるお店で裏打ちを依頼されたお客様が
完成したとの連絡で受取りに行かれた所、
裏打ちしたのに作品の反りが酷いとの事。
当店まで相談に来られました。
今回裏打ち依頼されたお店との遣取りを、
お客様により詳しくお尋ねした所、
「安価に1日でも早く仕上げて欲しい」
との要望を出されたとの事でした。
このお話を聞いてすぐに判りました。
今回このお店が取られた裏打ち手法は、
熱圧着式のプレス機械を使った物です。
この方式は非常に短期間で仕上がります。
熱圧着ですので乾燥期間が短く済みます。
手打式は裏打ち期間は約1ヶ月程ですが、
熱圧着式は7日~10日で仕上がります。
何故、
手打式裏打ちが1ヶ月近くかかるのか?
それは糊を自然乾燥で乾かす為、
どうしても必要な期間なのです。
この自然乾燥工程を短くすると、
かなり高い確率で後日反ります。
その点において熱圧着式は手打式に比べ、
納期がはやく安価で非常に良いのですが、
やはりそこには幾つかの欠点があります。
簡単にまとめると以下のとおりです。
■ 熱圧着(機械)方式で裏打ちした場合
・ 工程の最後にプレス機で熱圧着します。
長所:糊が乾燥する期間が無い分納期が早い。
長所:手作業に比べ料金が安く仕上がります。
短所:熱圧着の為、将来作り直しが出来無い。
■ 昔ながらの手作業で裏打ちした場合
・ 熟練の職人が全工程を手作業で行います。
長所:糊付けも全て手作業の為、反りが無い。
長所:全て手作業の為、将来作り直しも可能。
短所:熱圧着に比べて料金が多少は高くなる。
額装目的の裏打ちであれば熱圧着もOKですが、
軸装目的の場合は手作業を強くお勧めします。
みなさまもどうぞ参考になさって下さいね。